供血犬をご存じですか

供血犬をご存じですか

皆さんの愛犬を救うかもしれない、供血犬という犬の存在を聞いたことがあるでしょうか。

供血犬とは

輸血が必要な犬のために、血液を提供してくれる犬の事を供血犬といいます。私達人間には、献血というシステムがあるため、血液型によって保存があり、必要な時には直ぐ輸血が出来るようになっています。

ですが、犬の場合、そういうわけにもいきません。基本どの動物医院にも血液が保存されているわけではないのです。緊急に輸血が必要な時は、供血犬より、血を提供してもらい、輸血を行うというわけです。院内で飼育されている時もあれば、働いているスタッフの愛犬などが供血犬としてその役割を果たすことがあります。

アメリカでは、犬の血液を人の血液の様に献血をしてもらい、赤血球、血小板、プラズマなどの成分として保存したりして、緊急の時に輸血できるよう保存されています。

Penn Animal Blood Bank

日本とアメリカでは、動物愛護法に関する厳しさが違います。

供血犬として登録するには

供血犬として登録するには一定の条件を満たす必要があります。

※以下の条件は各医院にて若干の違いがあります。

年齢が1歳~8歳未満の成犬

体重15㎏以上(中型~大型)

ワクチン接種済み(狂犬病、混合ワクチンなど)

フィラリア予防、ノミ・マダニ予防がされている

今までに輸血を受けたことがない

避妊手術済みのメス

交配経験、又は予定のないオス

麻酔をかけずに採血が出来る性格を持ち合わせている

※秋田犬は、他の犬種に比べ赤血球細胞内のカリウム濃度が濃いため供血犬には適さないとされています。

詳細は登録する場所により若干左右します。

通常であると、血液検査を行い、献血ができるかどうかを確認します。

採取される血液は犬の体重1キロ当たり20mlが最大採血量とされています。10㎏の犬だと200mlということになります。

どの動物医院でも、輸血が必要な時は必ずあります。血液型や必要とされる成分を必要なだけすぐに調達できるかどうかは、供血犬の登録の数とその犬の血液によります。

供血犬の暮らし

殆どの供血犬が、その院内でマスコットの様に飼育されたり、または院内スタッフの愛犬が供血犬として登録されていることが多いと言われています。

ですが、中には粗末に「血を取るだけの道具」として、地下で飼われていたりするケースもあるようです。

 

この実態は日本だけではなく、海外でも見られます。カリフォルニア州では、動物の命の権限を無視した供血ビジネスが存在していました。捨て犬や、競技に参加できなくなったグレイハウンドなどをケージにいれ、血を抜くためだけに「飼育」され、その環境は酷く、犬の健康状態も最悪でした。こういった「供血ビジネス」を阻止するため、2022年1月1日、動物関連医院が捨て犬施設から血液を受け取る事を禁止する法律(英語サイト)が出来ました

この法律制定後、犬の血液バンクが設立され、動物医院が血を必要とする際は、すべてドナーを通して入手するよう義務づけられたのです。この法律の様に、真っ当な方法で血液バンクが設立されれば、日本でも海外でも、捨て犬や「利用価値のなくなった犬」を道具の様に利用し、お金の為だけに犬達が利用されることが減るでしょう。

犬を救うために、犬が犠牲になるというのは、あってはならない事です。あくまでも、善意の提供の元、命は救われなければいけません。

 

供血犬の負担を減らすには

供血犬の負担を減らすために私達飼い主が出来ることは、「供血犬」という血を与えてくれる犬が存在するという事実を知り、また広めていく事にあります。

自分の愛犬を供血犬として登録できない人も、1人でも多くの人が、供血犬の役割と大切さ、愛犬の命を守る命の綱であるということを広めていく事も出来ます。供血犬の認知度が高まれば、中には「ドナー登録をしよう」という飼い主さんもきっと出てきます。1人でも多くの飼い主さんが供血犬の存在と役割を理解し、1人でも多くの飼い主さんが愛犬のドナー登録をすることが、今現在の供血犬である犬達の負担を減らすことができるのです。

 

よくある質問

  • 供血犬に登録するには?

かかりつけの獣医師や、近くの医院などへ問い合わせてみましょう。各医院により基準が異なるため、一概に「登録できる・できない」の決定がだせません。

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