ペットの歯周病について

ペットの歯周病について

ペットの歯周病とはいったい何なのでしょうか。

歯周病とは

 

歯を持つ人間、そしてペットにも歯周病は存在します。ではそもそも歯周病とは何なのでしょうか。
歯周病とは、簡単に言うと最近の感染により引き起こされる炎症疾患で、 酷くなると、歯の周りの歯ぐき、歯を支えている骨などが溶けてしまう病気まで引き起こされてしまいます。

歯と、歯肉の間に溜まった食べ残しなどが残ったままだと、その部位に多くの細菌が溜まり、炎症を起こして赤くなったりします。歯ぐきなどが腫れることもあり、見た目にも痛々しい感じがします。

 

歯周病は大きく分けて2つ、歯肉炎と歯周炎に分けられます

歯周病の初期段階を歯肉炎と呼び、進行し、症状が酷くなると歯周炎になります。人間と同じように、口内には数えきれないほどの細菌が存在します。その細菌によって歯肉炎が引き起こされます。歯肉炎とは、歯肉のみの炎症を指し、歯ぐきの赤み、腫れ、出血が起こりやすい状態となります。人間で言いうと、歯磨きのさいや歯間ブラシやフロスの使用時、また、リンゴなどの硬い食べ物を噛んだ時に出血が見られるようになります。

歯肉炎は、歯肉のみの炎症を指しています。歯肉が腫れたり赤くなったりし、この段階の炎症は、歯と歯肉の間にある限られた場所のみで炎症を起こしています。歯肉炎は主に、歯垢の蓄積、プラーク細菌が歯の周り、歯の表面、歯と歯の間など、人間でいうと歯みがきがしにくいところ、歯ブラシの届きにくいところに絶えず付着することで引き起こされます。歯垢を取り除くことによって歯肉は健康な状態に戻ります。歯肉溝の深さは、小型犬で1~2㎜程度、大型犬で3㎜ぐらいまでが正常であるとされています。歯周炎をそのまま放置しておくと、歯と歯の間にある歯肉溝がどんどん深くなり、歯周ポケットが形成されることになります。細菌は、この歯周ポケット内で更に増加し、歯周炎を引き起こすということになります。

歯周炎は歯肉のみにならず、歯肉以外の歯の周りの組織にまで炎症がいきわたり、組織の破壊、また消失が起こっている状態となります。歯の周りの組織には歯肉以外に、歯根膜、歯槽骨、セメント質などが存在します。たまに、歯が伸びたように見えることがありますが、これは、歯槽骨が溶けて消失、歯肉がさがり(後退)歯が伸びたように見える症状です。この状況まで症状が進行してしまうと、歯周辺の組織を、治療で元の状態に戻すことは不可能となります。

歯周病の症状は3段階

 

軽度:歯肉が赤くなる、腫れる
軽度:歯が揺れてくる、口臭が出てくる、唾液が粘っこくなるケース
重度:口臭が酷くなる、歯ぐきから膿がでてくる

以下の症状が見られたら、歯周炎を疑いましょう。
歯石ができる
口が匂う
よだれがでる
ご飯が食べづらそう
歯ぐきの出血
歯が抜け落ちる

 

治療方法

歯周病は治療せず放置しておくと、確実に悪化していく病気です。歯周病は早期発見、適切な治療と対処を行うことがとても重要です。それでは、歯周病であるとわかった時の治療法はどうなるのでしょうか。

歯石除去

歯周病になるということは、殆どの場合歯石の付着が見られます。歯垢から歯石が形成されますが、歯石があると、新たに歯垢の居場所ができてしまう温床となります。原則では、麻酔をしてのスケーリング、歯の表面だけでなく隠れている歯石の除去、プラーク除去により歯周病の根治を目指します。歯肉部分に隠れている歯石をしっかり取り除くことがとても重要です。歯周病による歯の根の状態を確認するために、レントゲンを取る場合もあります。

💊を使った治療

細菌感染で引き起こされる歯周病は、口内の細菌バランスを整えることが必要とされるケースもあります。また、歯周病その物を治療するのではなく、歯周病菌による症状の悪化、炎症を抑えるため、処置後の痛みの緩和などに、違う種類のものを使用する事もあります。直接患部に塗り付けるものもあれば、経口タイプの場合もあるでしょう。使用される物には、抗生物質、痛み止め、歯周病治療専用の物があります。

抜歯

歯のぐらつき、レントゲンの結果により、歯の温存が難しいと判断されたときには抜歯が行われます。

治療まとめ

歯周病を根治させるためには、全身麻酔をかけて歯石を取り除いたり、抜歯をする必要がある場合もあります。歯がぐらついている場合、歯の周辺は一見して問題なさそうでも、組織が細菌に感染し、腐り、壊死している組織が殆どなのです。

抜歯したあと、その周囲の組織をはがすことがありますが、壊死した組織を残さないための対応です。これらの処置は、必ず獣医師の元で行われます。

歯周病の予防方法

歯周病予防には、歯石を溜めない事が第一です。これには、歯磨きが必要となります。子犬のうちから、歯ブラシに慣れさせておきましょう。いきなり歯ブラシを口に入れては、愛犬も驚いてしまう事でしょう。歯ブラシが怖いものではないことを教える必要があります。人間の様な歯ブラシに抵抗がある人は、指にはめるペット用歯ブラシや、ガーゼを指に巻き付けて、歯と歯ぐきのあたりを優しく撫でるように磨いてあげましょう。
「歯を磨く」という概念ではなく、愛犬と過ごす時間として歯磨きタイムを作るのがいいと思います。3歳以上の犬や猫の80%以上が歯周病であると言われています。食後24時間で歯垢が形成され、3日ぐらいすると歯垢が歯石にかわります。そのため、1日に1回、または1日おきに歯磨きをすることが推奨されています。

よくある質問

  • 犬の歯の数は?

犬の歯の数は全部で42本(永久歯)です。
上あご:切歯3、犬歯1、前臼歯4、後臼歯2
下あご:切歯3、犬歯1、前臼歯4、後臼歯3
これの左右合わせて、全部で合計42本となるわけです。歯の本数はフレンチブルドッグなどの担当種では「欠歯」といって歯がない所があるため、従来の42本より、少ない事もありあります。

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